コンサルティングファームとは?種類から職位・報酬体系まで解説

コノミン編集部

アクセンチュアの現役コンサルタントによる全3回の寄稿シリーズ。第1回は、コンサルティングファームの仕事についての基本的な解説から、世の中で一般的に分類されるファームの種類(ジャンル)、コンサルタントの一般的な職位や報酬体系までを解説いただきました。

はじめに

総合系コンサルティングファームであるアクセンチュアの中で働いている者です。

最近、「コンサルティングファームに転職したいので、アクセンチュアについて教えてほしい」という声を身の回りの多くの方々からいただき、自分の中でも「コンサルタントってどういう仕事なんだっけ」「アクセンチュアってどんな会社だっけ」といったことなどを整理するべきタイミングに来たような気がするので、まとめてみることにしました。

「アクセンチュアに転職したい人が知りたいこと、全て書いてます」そんな内容にしたつもりです。

第1回では、アクセンチュアについて触れる前に、まずは「コンサルタント・コンサルティングとは」というテーマで解説していきます。

"コンサルタント"は、ぶっちゃけ誰でもなれる

ここ数年で、「職業はコンサルタント」と名乗る人が増えているような気がします。

ちょっと前に"ほらっちょ"でニュースになったショーンK氏も、"自称"コンサルタントでした。

彼は、経営実績(世界7か所に拠点を持つ年商30億円以上の企業の経営等)・学歴(ハーバード大学でMBA取得等)・出生(米国人と日本人のクオーター)などあらん限りの社会的ステータスを偽っていました。

そんな彼でも"コンサルタント"として働けた時期があったことが示す通り、コンサルタントという仕事は、許可・免許がいる士業等とは根本的に異なり、自分が名乗りを上げたその時からなることができる職業なのです。

またショーンK氏のように個人事業主でなくても、例えば金融機関で営業をしている人でも「ファイナンシャルコンサルタント」を名乗る人もいますね。(広義の意味で、このような仕事をしている方もコンサルタントに分類されます。)

ですので、ぶっちゃければ"コンサルタント"には誰でもなることができます。

ただ、問題解決力が高いコンサルタントとそうでないコンサルタント、稼げるコンサルタントとそうでないコンサルタント、その明暗は分かれます。特に、サラリーマンとして仕事に就く場合には、コンサルティングファーム所属のコンサルタントと、一般企業所属のコンサルタントではスキルやそれに伴う報酬に差があるのが現実です。(個人事業主としてコンサルタントをしている人で、優秀で稼ぐケースもありますが、今回は記事の主意にそぐわないため割愛します。)

そのため、コンサルタントを名乗る上で実力をつけ、稼ぎたいという人は、(特に外資系の)コンサルティングファームに就職するのが最も手っ取り早い方法であり、だからこそ就職・転職市場で相対的に人気が高い業界なのだと考えています。

では結局コンサルタントの仕事っていったい何なのか?それに伴う働き方や社会的評価、報酬はどう変わるのか?それを次に説明します。


※そろそろ、「そんなことはいいから外資系コンサルのアクセンチュアに関する情報を教えろ!」と思う方も増えてきたはずですので、その場合は後半で解説する「コンサルティングファームの種類と業務体系、報酬体系」や第2回「アクセンチュアの部門の違いと年収イメージ」までジャンプしてください。

コンサルティングファームと一般企業の仕事内容の違い

結局コンサルタントがする仕事(=コンサルティング)とは何なのか?

コンサルタントの仕事の意義は根本的にはただ一つ、「クライアントの持つ価値を最大化すること」に尽きます。

相手が法人であれば、企業戦略・経営上の様々な課題を明らかにし、解決する助言をする(時には一緒になって解決する)ことで、クライアントの企業価値を最大化することが仕事になります。相手が個人であれば、その人が持つ悩みを解決するアドバイス・サポートをすることを指すでしょう。いずれにせよ、問題を解決することで相手の価値を最大化することがコンサルタントの仕事です。

では、先ほど述べたコンサルティングファーム所属のコンサルタントと、一般企業所属のコンサルタントでは何が変わるのか?ここでは分かりやすく、コンサルティングファームの仕事を「コンサルティング」、一般企業の仕事を「コンサルティング営業」として説明します。

まず、「コンサルティング営業」は、自社(自分)が取り扱っている商品・サービスを顧客に販売するためにコンサルティングを行うこと、と言えるでしょう。(例:生命保険会社の営業社員が、顧客のライフプランを一緒に考え、顧客のライフプラン・リスクに見合った自社の保険をいくつか提示すること、等)。顧客の課題解決の手段は自社(自分)の商品・サービスしかなく、コンサルティングはそれを販売・提供するための付随サービスに留まり、その販売料金が報酬となります。

一方、「コンサルティング」は特に商品やサービスを提供したり販売したりすることは原則ありません。コンサルティングそのものが商品だからです。つまり、「クライアントの潜在的な(あるいは顕在化している)課題を明らかにすること」、そして「課題の解決策を提示する(あるいは一緒に実行する)こと」を商品として扱い、これらのコンサルティング行為に対して報酬を受けます。

よりシンプルに言えば、コンサルティング営業は顧客が「欲しいもの」を提供する仕事で、コンサルティングは「必要なもの」を提供する仕事と言えるかもしれません。

一般に営業では、顧客が欲しいモノ、あるいは潜在的に欲しいと思っているものを掘り起こし、時にはセールストークを駆使して提供します。一方、コンサルティングでは場合によっては顧客が欲しいと思っていないものでも必要であれば勧めることがあります。

例えば昨今はAI等の先進テクノロジーを使った業務プロセスに対するコンサルティングが流行していますが、必ずしも明るい話だけがあるわけではありません。少し前に話題になった金融機関の大幅リストラでは、AIやフィンテック等の新しいテクノロジーによる業務削減効果の大きさが評価された一方で、リストラ後の企業経営方針が不透明なことが問題とみなされています。

業務効率化は経営側にとって喜ばしい話ですが、それまでのビジネスが維持できなくなることで、社員からすれば仕事を失うことに繋がります。リストラの果てに残った人員はどんなスキルを新しく身につけてどんな仕事をするべきなのか、新しいビジネスモデルに基づく最適な組織体制はどのようなものなのか等、一つの問題に対処した結果新たに発生する問題も複合的に解決しなければ、企業として正しい改革を行ったことにはなりません。あくまで一例ですが、こうしたクライアントにとって「耳の痛い話」も時にはしなければならないことがコンサルティングの現場では起こり得ます。

クライアントの規模が大きくなるほど、問題の"幅"と"深さ"、そしてこの二つを掛け合わせた問題の"面積"が大きくなり、単純に商品・サービスを提供すれば解決できるようなものではなくなります。

だからこそ問題解決力が高い(より幅広い問題に対処できる・より深い問題に対処できる)ことがコンサルタントとしての価値であり、それを備えたコンサルタントほどより高い報酬を得ることに繋がるのです。

一般に「外資系コンサルティングファームの給与が高い」と言われるのは、問題解決力に優れた人材が集まる結果、商品・サービスを提供する側である事業会社よりも企業として解決できる問題の総面積が大きくなり、高単価の仕事を受注できるから、ということが理由に挙げられるでしょう。

コンサルティングファームでの働き方

コンサルティングファームではどのように仕事を受けてコンサルティングを実行するのか、その働き方を説明します。

コンサルティングファームは、コンサルティング契約のあるクライアント企業から依頼を受けると(あるいはコンサルティングファームから提案をして受け入れられると)、その度に社内からプロジェクトのテーマや目的に適った人材を集め、プロジェクトチームを組成します。コンサルティングファームは一般企業ほど多くのセクションが設けられておらず、たいていは業界ごとのユニットがあり、その中からメンバーが選ばれます。プロジェクトへの参加(アサイン)は、ファームにもよりますが上司から決定事項として割り振られる場合もあれば、面談をして希望者の意向や能力を確認しながら決める場合もあります。

またプロジェクト内での業務内容は役職ごとにある程度決まっており、それぞれが役割を適切に果たすことで"個"ではなく"チーム"としてプロジェクトを成功させることが求められます。

期間は短くて1か月程度の場合もあれば、1年以上続く場合もあります。またプロジェクトが終了したら、プロジェクトチームは解散し、コンサルタントは次のプロジェクトを担当することになります。 こうして様々な領域で、様々な社内外の人間と仕事をするのがコンサルタントの働き方の特徴です。

コンサルティングファームの種類と業務体系、報酬体系

ここまで、コンサルタントと呼ばれる人がする仕事について述べました。ここからコンサルティングファーム)の種類と業務体系、そして報酬体系について説明します。

コンサルティングファームは業務領域によって主に戦略系、総合系等に分類されます。XX総研のようなシンクタンクもコンサルティングファームに含まれることもあります。

一般に、大手コンサルティングファームと呼ばれる企業の例は以下です。

(コノミン編集部作成)

戦略系コンサルティングファーム

ワールドワイドにビジネス展開している歴史の古い欧米発のファームが大半。知名度・実力も高いです。プロジェクトは企業の経営陣を相手とし、経営戦略、M&Aなど重大な意思決定に関わることが多いです。


プレイヤー例:マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー等

総合系コンサルティングファーム

会計事務所系コンサルティングファームが出自のコンサルティングファーム(Big4)が中心。事業戦略立案~IT戦略立案・システム化構想策定といったいわゆる上流から、業務改善、システム導入、そしてアウトソーシングまで企業全体の経営課題に対して総合的なコンサルティングサービスを提供しています。アクセンチュアもこの総合系コンサルティングファームに含まれます。


プレイヤー例:デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング、アクセンチュア、アビームコンサルティング等

シンクタンク系コンサルティングファーム

官公庁や民間企業を対象としたリサーチを中心に、コンサルティングビジネスも展開。主にリサーチ部門・経済調査部門・コンサルティング部門から構成されています。


プレイヤー例:野村総合研究所、日本総合研究所、NTTデータ経営研究所、三菱UFJ リサーチ&コンサルティング等

こうしたコンサルティングファームでは、多くの場合5段階に職位が分かれます。職位名は一例で、企業によって異なります。各職位ごとの業務内容などについては、次の段落で詳しく説明します。

(コノミン編集部作成)

アナリスト/アソシエイト

在籍する年齢の目安:22~30歳位

必要なコンサル経験:0~3年

平均給与(賞与含む):500~700万円

コンサルタント

在籍する年齢の目安:25~35歳位

必要なコンサル経験:0~6年

平均給与(賞与含む):800~1300万円

マネージャー

在籍する年齢の目安:28~40歳位

必要なコンサル経験:2~10年

平均給与(賞与含む):1400~2000万円

シニアマネージャー/プリンシパル

在籍する年齢の目安:32~50歳位

必要なコンサル経験:5~15年

平均給与(賞与含む):1700~2500万円

マネージングディレクター/パートナー/ヴァイスプレジデント

在籍する年齢の目安:35歳以上

必要なコンサル経験:7年以上

平均給与(賞与含む):2500万円〜

コンサルタントの報酬の源泉は、クライアントから支払われるコンサルティング料です。前述の通り、問題解決力の高いコンサルティングファームほどコンサルティング料が高くなるため、コンサルティングファームの中ではいわゆる戦略系が最も報酬が高くなります。

戦略系ファームでは、マネージャーレベルになった時点で1500万円は優に達します。(総合系コンサルティングファームの戦略部門も、純粋な戦略系ファームには劣りますが、それに次ぐ水準の給与が得られます。)総合系ファームであれば、マネージャーレベルになった時点で1100万~1300万円程度になるでしょう。

コンサルティングファームの職位ごとの仕事内容

職位ごとに求められる役割は、概ね以下の通りです。

アナリスト/アソシエイト

主にリサーチや分析、資料作成、社内雑務を担当します。

プロジェクトの中では、上司とミーティングやクライアントへのヒアリングに同行して議事録を作成することや、各種公知情報の事例収集・分析などを頼まれることが多いです。システム系のコンサルタントとして入る場合には、プログラミングのコーディングをすることもあります、たいていは「これを、いつまでに、どのようにやってください」という指示を受け、それを確実にこなすことが求められます。

コンサルタントまでの昇進には、平均で2〜3年程度を要します。多くの場合は真面目に仕事をしてスキルを身につければ、コンサルタントに昇進することができますが、中には上がれない人もいます。

コンサルタント

プロジェクト運営上のタスク・作業の大半を担当します。アナリストとは異なり、自分の判断で課題解決に向けた仮説構築・検証・示唆出し・レポーティングすることが求められます。仮説の切り口やそれを検証するためのプロセス・アナリストに依頼する内容、上司の巻き込み方など、プロジェクト運営上の実作業で必要な判断は基本的に一任されます。

マネージャーまでの昇進は、平均で2〜3年程度を要します。アナリストからコンサルタントへの昇進とは異なり、コンサルタントからマネージャーへの昇進のハードルは高く、ここで挫折する人も一定存在します。

マネージャー・シニアマネージャー

プロジェクトを管理し、結果に対して責任を持つのがマネージャーです。折衝する顧客のレベルが課長レベルから部長以上に上がり、またプロジェクト管理上の責任や予算管理も担うようになります。

プロジェクトを推進する前の大きな方針決定や、クライアントの期待値のコントロール、作業品質の確認・修正などプロジェクトを管理する立場としての役割が求められるため、コンサルタント職よりもハードな職責を担うことになります。

シニアマネージャーの職位が設けられているコンサルティングファームでは、複数のプロジェクトで・更に品質の高いマネージャーロールを担うことを求められます。

マネージングディレクター・パートナー

コンサルティングファームの共同経営者という立場になるのがマネージングディレクターやパートナー職です。主な仕事はプロジェクトの提案活動と会社経営で、年間の売上目標に対するプロジェクトの提案・受注や、所属する組織の運営方針の策定・実行が求められるようになります。狭き門ではありますが、折衝するクライアントのレイヤーは大企業の社長レベルとなるため、コンサルタントとしてのダイナミズムを最も味わえる職位と言えます。

(参考)コンサルティングファームのプロジェクト実例

ここでは、コンサルティングファームが実際にどのようなプロジェクトを行っているのか、一例を紹介します。全て公式HPより引用しています。

マッキンゼー・アンド・カンパニー

『日本のスキンケアブランドの中南米戦略』

日本のスキンケアメーカーに対し、消費者および販売チャネルの総合的な分析によって中南米市場で成功するブランドの開発と販売チャネル戦略を立案。

ボストン コンサルティング グループ

『ある東南アジアの銀行の新しいビジネスモデル』

東南アジアの銀行に対し、新しいビジネスモデルと戦略を策定し、伝統的なライバル企業の2倍の率でミレニアル顧客を獲得。

デロイト トーマツ コンサルティング

『大手金融機関の経営管理態勢高度化支援』

業務(金融商品の導入、規制対応、顧客管理、管理会計)・IT(ASP、CRM、DWH、BI=Business Intelligence)におけるBPR、システム導入といった多岐に渡るテーマに対し、デロイトが持つ方法論・フレームワークやメンバーの知見・経験を活用し、実行性の高いサービスを提供。

アクセンチュア

『Insurer of Things生命保険業界全体のイノベーション』

第一生命保険株式会社で、最優先の戦略課題として保険ビジネス(Insurance)とテクノロジー(Technology)の両面から生命保険事業独自のイノベーションを創出する取組み(InsTech)をグループ全体で推進。


前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、次回からは筆者の所属するアクセンチュアについて、その実態や年収、働き方まで詳しく説明していきたいと思います。

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